ER10-02 「失われた友を求めて」 ("The Lost")
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放心状態気味。
いろいろな意味でただただ圧倒されて、「感想」を言葉にするのは難しい。
また、軽々しく何か言うにはあまりに重い内容でもあり。
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浅薄なところから。
ジリアン役の声優さんが前回(9-22)から交代していてくれないかなと淡く期待していたのだけど、それはなかった(声優の方個人がどうこうというより、オリジナルと吹き替えのマッチングがあまりに・・と不満があったので)。
赤十字のスタッフ、デビーは懐かしのアンナ(・デル・アミコ)と感じが似てると思う。
演じたメアリー・マコーマックは、ERの出演者&スタッフてんこ盛りだった映画「ディープ・インパクト」に宇宙へ行くメンバーの紅一点として出ていた。現在は「ザ・ホワイトハウス」のレギュラー。
そのデビーがカーターにしきりに「Dixie Chicks」は聞かないの?と尋ね、彼はそれを否定しまくる。ディクシー・チックス! 9シーズンでカーターがアビー、アビー弟のエリック&その彼女とダブルデートした時にみんなで踊るハメになったカントリーの曲のアーチストだ。一種のインサイドジョークみたいなモノだろうか。
ルカ。たとえマラリアで死にそうな青白い顔でもいやはや、カッコいいですなあ(ホレボレ)。無精ヒゲ対決でもカーターに完全勝利でしょ。森の中で熱に震えている場面でも、体育座りのヒザから下が長いこと!ってなトコロを見ている私は全くの不届き者なのかもしれない。
最後に担架の上のルカがカーターを手招きして感謝のキスをする場面、「ザ・ホワイトハウス」2シーズン一話(だったと思う)で撃たれて病院にいるバートレットが同じようにレオにキスした場面と重なる。 もちろんERの若いコンビの方がイイ(笑)。
カーター先生、ルカを探してくれて、救ってくれてありがとー。感謝します。でも君。コンゴに来たのも残るのも、結局女性関係(えーと、簡単に言うとアビーですが)のゴタゴタからの一時避難みたいなものなの? デビーへの「独白」とかから理解すると。
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カーターがデビーに言った「自分はそれなりにモノを知っているつもりだったけど、コンゴの実情など何一つ知らなかった」というせりふは全く自分にも当てはまる。ERで描かれるまで私も何も知らなかった。 9シーズンで出て以来、新聞などで「コンゴ」の文字を見つけたら読むようにはしているけれど、あまり出ないのが実際のところではないだろうか。
とにかく銃声の恐ろしいエピソードだった。
パトリック、パトリック・・(涙)。
戦争・内戦状態でのレイプ。重い。
診療所の外に無言で座っている多くの女性というショットや、テントの中からズボンを直しながら出てくる兵士、というショットは直接的な描写と同じぐらい強くメッセージを伝えていたと思う。
ルカと宗教、というテーマは7シーズンの司教様がらみで完結したわけではなかったのだ。
患者のお母さんに十字架を渡されたときの居心地の悪そうな表情。死を覚悟したであろう時に、隣のパトリックに「自分と神」について語り、「もう信じていない」はずなのに、みんな殺されて一人だけ残り、次は間違いなく自分という極限状態では(マラリアで朦朧としているにしても)、何か一線を越えたような状態となり、自然に神への祈りが口をついて出てきた。結局十字架のネックレスと「祈り」が彼の命を救ったという結末は、ドラマ的に都合がいいと言えばそうだけれど、「宗教」は、普段全くそういうことを意識しない典型的日本人(?)の私には考えてもなかなか、難しい。
助かったルカが飛行機に乗り込む前、カーターに自分はどこへ向かうのかとたずねる。カーターが「home」だよと答えるとさらに「それ、どこ?」と聞き返す。悲しい。home、とはモノとしての「家」というよりは「自分が属する場所」的な意味で。カーターの答えどおり、現在ルカの「home」はアメリカのはずだけど。彼の孤独の深さって本当に計り知れないものがある。