ER11-18 "Refusal Of Care"
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他人の目が気になるし、関係が「急ぎすぎ」だと違和感を感じている。仕事を終えての帰り道、そんなアビーにジェイクは「2週間後にめいの洗礼があるんだ(彼女にも一緒に出て欲しい)。それまでにどんな関係をお望みなのかはっきりさせてよ」と言う。二人のムードは良好。
今回のメインは、40日あまりのハンガーストライキで危ない状態になり運ばれて来た女性患者。スーザン、ニーラ、サムが担当。患者はあらゆる処置を拒む。彼女には出身国エルサルバドルに強制送還されそうな息子がいて、その決定を覆すためのINS(移民帰化局)の公聴会(審理)を求めてハンストを続けてきた。自身は80年後半から合法的にアメリカに在住。が、許可を待ちきれず7年前に故国から密入国させた息子(当時12歳)が強盗の罪で現在少年院におり、出所したら即強制送還されそうという事情なのだ。彼女のハンスト続行・治療拒否の意思は固く、また、弁護士(実は法学部の学生)が「治療拒否の意思確認、法的権利」みたいな書類を示したりして、危険な状態なのに何もすることができずに矛盾といら立ちを感じるスーザンたち。しかし、少年院から息子を呼んで面会させたり(息子の態度は悪し)、必死に説得したり、また、「マスコミが注目し始めているから公聴会の可能性も出てきた」と状況が変化したりで、最後には食事を取らせることに成功する。
アビーは強盗に殴られたと顔にケガをした老婦人を担当。ずっと二人暮らしだという姉が付き添っている。この姉妹、実は路上で物乞いを続けていることが判明。ソーシャルワーカーのウェンデルを呼んだりもするが、「自分達だけでちゃんとやっているから」の一点張りで行政が介入する方法は限られ、退院させるしかない。
プラットとレイは階段から転落して重傷を負った中年女性を診る。治療は終わったものの、検査の結果、既に拡がったガンが骨をもろくさせていたこともケガの要因と分かる。乳がんだった。しかし、女性(保険にも入っていないなど、貧しいよう)は医療に非常な不信感を持っており、薬を飲む以外の検査や手術のオプションはかたくなに拒否。本人が拒む以上帰宅させるしかないという状況に解決策を探したプラットが、がん患者たちの自助グループから同じような病状を経験した一般女性を連れてきて話をしてもらうことに。どうやら患者女性の態度は軟化しそうだ。
モリスがシフトの最中ずっとスーザンを追い掛け回す。この二人は共同で論文を書いていて(!)、その締め切り当日なのだ。スーザンは最初、後でやるからゴメンネ!とすまなそう、しかし、仕事の忙しさなどでそれどころではなくなる。チーフレジデントのポジションに応募するためにも必要な論文らしく、あきらめないモリス。が、スーザンにきっぱり断られて結局は引き下がるしかない。スーザンには、自宅のチャックから息子のコスモの具合が悪い・・と何度も電話がかかってきたりもする。
アビーとジェイクが担当したティーンエイジャー。咳き込んだはずみで片方の眼球が全部飛び出してしまう(原因は甲状腺機能の異常)。パニーック! スタッフのルカが呼ばれ、彼は落ち着いてアビー&ジェイクを指導、その場でクリップを曲げて作ったカギ型の器具(?)を使わせ、二人が少年の目を正常な位置に押し戻すまでを導く。
カーターとウィーバーが新しいクリニックの建築プランの説明を受けている。以前のカーターの抗議を受けて、HIV部門も実現するようだ。自分の財団が建設費用や無保険の人々の治療予算を全て出すよ、というカーターのあまりに太っ腹な申し出に驚くウィーバー。お金を何に寄付するかずっと考えていたんだ、と彼。「なぜ今、これに?」の質問には、「ここで11年間人々を治療してきたけど、それだけじゃ十分じゃないことがよく分かったから」。寄付の見返りにはクリニックの命名権を頼む。それから、理事会のメンバーになることと、時々は患者の治療に携わりたいとも(自分が院長にという気はない)。
カーターはシフト中、気まずく別れてしまったウエンデルと何度か顔を合わる。お互い落ち着いて会話をし、シフト後には彼女がカーター宅に私物を取りに来たりでなんとなく「キレイな別れ」的モードにはなる。ただ、「食事でも」「お茶でも」という彼の誘いは断られる。
自宅に一人きりのカーターは、アフリカのケムからの留守電に気づき彼女に電話をかける。クリニックの名前を(二人が失った赤ちゃんの名前から)「ジョシュア・カーター・センター」でどうかな・・と話している。
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(メモ)
・スーザンがラストシーンで息子に電話越しに"One hippo all alone...." と暗誦してあげていたのは絵本 "Hippos Go Berserk!" 。
・アビーが担当した老姉妹のうち、ケガをした妹バーディ役は「カッコーの巣の上で」(1975)でアカデミー賞などに輝くルイーズ・フレッチャー(左)。「スタートレック・DS9」のカイ・ウィンとしても知られる。姉役のパット・キャロルも50年代にエミー賞受賞経験のある大ベテラン。
・アビーの「お布団ウォッチ」追加分がこちら。